中部・北陸の峠

 

 中部・北陸には1000m以上の山々がたくさんあり、峠道も結構とんでもない所を走っていたりします。その気になれば日帰りで走って帰れる範囲内なのですが、酷道・険道の峠道を日帰りで走って帰ってくるのは疲れるので、キャンプツーリングでもしながらのんびり走りたいものです。

☆★☆ 掲載リスト ☆★☆

中部・北陸の峠

◇長野県の峠:権兵衛峠・九蔵峠(R361)/地蔵峠(OR361)/中沢峠(r49・R152)/分杭峠(R152)/

地蔵峠(R152)/清内路峠(R256)

◇岐阜県の峠:長峰峠・美女峠(R361)/桜峠・堀越峠・タラが谷越(R256)

◇三重県の峠:仁柿峠(R368)/武平峠(R477)/石榑峠(R421)

中部・北陸の峠

◇長野県の峠:権兵衛峠・九蔵峠(→R361)/地蔵峠(→OR361)/中沢峠分杭峠地蔵峠/清内路峠(→R256)

◇岐阜県の峠:長峰峠・美女峠(→R361)/桜峠・堀越峠・タラが谷越(→R256)

◇三重県の峠:仁柿峠(R368)/武平峠(→R477)/石榑峠(→R421)

中沢 (長野県)

 長野県長谷村と長野県駒ヶ根市の境となるのが中沢峠である。長野県長谷村からR152を南下して目指すこともできるが、今回は駒ヶ根市からr49経由で中沢峠を目指している。

 駒ヶ根市内からr49を東に向かう。天竜川を越してしばらく行きr210が分岐すると、r49は信州の田舎を走る2車線ローカル県道になる。集落を幾つ越えると周囲は徐々に山深くなってゆく。2車のままで急カーブ・急勾配区間が始まると中沢峠越えが始まる。峠越えの最初のしばらくの間は、r49は整備されており2車線急カーブ・急勾配が続く。対向車が来てもそう慌てる必要もない。

 やがて道幅が完全1車線区間に入るといわゆる『険道』区間に入る。1車線幅の急カーブ・急勾配区間が続く。ブライドカーブが連続するので対向車にかなり注意しなくてはならない。カーブを幾つか曲がると山深い所を進む。道の勾配が緩くなるとT字路にぶつかる。R152との交差点で、ここが中沢峠となる。

1.r49の1車線区間は、急勾配・急カーブの連続する険道。こ

  ういう感じの道が続く。中沢峠から駒ヶ根市内方向を撮影。

2.R152中沢峠。ここから完全1車線の3ケタ酷道区間に入る。

 ☆★☆ 中沢峠 ☆★☆ 

 中沢峠を越えるためには、本来ならばR152に入って長谷村方面に下らなくてはならないのだが、走った時は中沢峠からR152を南下したために長谷村方面には下りていない。レポートは峠の西半分の区間だけとなる。

 r49の駒ヶ根市側は途中までは整備された2車線区間となっているが、途中からは完全1車線区間になる。走ったのは平日の朝9時前のことだったので対向車には出会わなかったが、休日は車の通行が多そうな気がする。2車線区間もブラインドカーブが多いので、カーブでは対向車に十分な注意が必要だ。道は全面舗装されており、路面はそう荒れていない。急勾配の急カーブが続くので、自転車ではちとしんどいかも知れない。

 山深い所を走るので大雨の後は崩土や落石に注意が必要。また冬期は早くから路面凍結・積雪があるとか。晩秋〜早春は通行要注意。冬期通行止めとなるかも知れないので要確認。

(2000年7月走行)

分杭峠 (長野県)

 長野県上田市と静岡県浜松市を結ぶR152は、長野県南部を縦断する3ケタ国道。長野県高遠町以南の区間は中央構造線に沿って進むルート。高遠町以南は山岳地帯を通るのでいくつかの峠を越す。中沢峠の南側にあるのが分杭峠(ぶんくいとうげ)。標高1424mの峠。

 分杭峠は1998年6月頃に大規模な地滑りが発生し道路が崩壊。約2年間もの間通行止めとなり復旧工事が行われていたが、2000年4月に工事が終了し開通している。

 中沢峠からR152を南に下る。3ケタ国道らしく勾配が緩やかな完全1車線の道が続く。中沢峠から1kmほど走ると、いきなり開けた所に出た。山側には地滑り防止のための真新しいコンクリート防壁が設置されている。道路もつい最近舗装された感じがする1.5車線道。どうやらこの場所が地滑り現場のようだ。すぐに『分杭峠』と書かれたR152国道標識と看板が現れる。

 分杭峠を過ぎると長野県長谷村から長野県大鹿村に入る。大鹿村側のR152は完全1車線区間。急勾配と急カーブが連続する3ケタ酷道区間。路面は舗装されているが所々荒れた箇所があり小石も転がっている。

道は山深い所をひたすら走るので少し薄暗い。木々の切れ間から見えるのは山だけである。

 いくつかカーブを曲がり標高をかなり下げる。大鹿村北川からは鹿塩川に沿って谷底を走る平坦な区間となる。一部1.5車線もあるが、大体1車線区間が続く。時々思い出したかのように集落を過ぎて延々と平坦な1車線区間を走る。やがて道幅が2車線となると大鹿村落合地区に到着する。 

 ちなみにR152の鹿塩川に沿って走る区間は、中央構造線がR152のすぐ脇を併走しているとか。

1.R152分杭峠に到着。中沢峠から

  約1km。

2.峠から中沢峠方向を撮影する。正面

  のコンクリートで固められた所が地滑

  り現場。約2年間通行止めだった。

3.分杭峠の石碑と看板。昔は木の杭に

  書かれていたとか。

4.峠の大鹿村側にあった標識。分杭峠

  は標高1424mの峠で冬期は通行止

  めになる。

5.峠を越すと大鹿村に入る。ここから下り

  の1車線国道区間に入る。

6.分杭峠から北側を見る。山深い所で、

  山山山・・・の連続。

 ☆★☆ 分杭峠 ☆★☆ 

 『分杭峠』という峠名は、その昔、高遠藩が峠より北側を領地と定め『是より北高遠藩』と書かれた杭を打ったことに由来する。現在、峠には『従是北高遠領』との石碑が建つ。

 今回は分杭峠から大鹿村に向かって南下したが、分杭峠大鹿村側のR152はかなり急勾配の道であった。鹿塩川沿いの谷底から短距離で一気に1424mの峠に上ることになるのでそうなったのだろう。急カーブも多いので大型バイクでは取り回しがかなりしんどい。路面はそう荒れてはいないが、砂利が浮いていたり小石が転がっていたりするので、バイクだと路面と対向車に注意して走行する必要がある。

 車同士の離合が難しい箇所も幾つかあった。車で走る場合は路肩にも注意がいる。結構もろそうだった。自転車では、大鹿村から上る場合はかなりの脚力・体力が必要だ。自転車・バイクでも車でも、走る場合は出来るなら2人以上で走ることを進める峠道である。

 一部区間では工事が行われており、工事現場横に石の多いダート道の迂回路が設けられていた。迂回路ながらも急勾配ダートだったが、距離が短かったのでZRX1100でも大丈夫であった。初心者にはちとつらいかも知れない。

 山奥ゆえ夏など夕立が在れば豪雨となり路面は川と化すようだ。大雨の後はかなり慎重に走らねばならない。崩土や崖崩れなど頻発するようだ。冬期は積雪通行止めとなるとのこと。晩秋や早春は路面凍結・積雪があるので注意が必要。

 また中沢峠と分杭峠を挟んだ約20kmもの間には人家は一軒もないので、夜間は走らない方が良いでしょう。

(2000年7月走行) 

地蔵峠 (長野県)

 長野県大鹿村と長野県上村との境にあるのが地蔵峠。日本のあちこちにある『地蔵峠』同様、ここの峠にもお地蔵様が鎮座されている。

 大鹿村大河原地区を出てR152を青木川沿いに進んで行く。道幅は完全1車線路。しばらくは川沿いの谷底を進むため、平坦なローカル国道区間を淡々と南下して行く。大鹿村安康で小さな橋を渡ると、道は徐々に勾配がつき始め急カーブも増え始める。やがて急カーブ・急勾配が連続する3ケタ国道区間に突入する。先ほどまで併走していた川は遙か足下を流れるようになり、やがて視界から姿を消す。急勾配・急カーブをいくつも曲がりながら人家のない山奥を進む。道幅は1〜1.5車線とが断続するが、山の斜面がもろいために路面に砂利や落石が転がっているが、標高が上がるにつれてその数は減少していった。

 大鹿村大河原から約13kmで標高1314mの地蔵峠に到着。道が国道扱いなのはこの峠まで。R152はこの地蔵峠で途切れている。峠南側の上村内のR152分断地点と地蔵峠の分断区間は、地図上では2kmほどの距離なのだが標高差がかなりあるので、どう考えても繋がることはない。将来はTNで別線建設となるのだろうか?

 分断区間は舗装林道で連絡されている。舗装林道といっても大鹿村内のR152と大差なく、完全1車線の急勾配・急カーブが連続する山道である。峠を越えて長野県上村に入ると、今度は谷底に下りて行くことになる。

大鹿村ナイトは違って山の斜面を通るために結構明るい。路面は思っていたほど荒れてはいない。

 しらびそ高原に向かう林道と合流すると、しらびそ高原に向かう車とすれ違うようになる。道幅は1〜1.5車線幅。整備された舗装林道を延々と走り続ける。村営の宿泊施設らしき建物を過ぎると、再び山中に入って行く。急カーブをいくつか曲がると、正面に立派な高速が見える。三遠南信道ことR474『矢筈トンネル』だ。最後のカーブを曲がるとR152と合流して地蔵峠越えは終わる。地蔵峠からR152と林道の合流(分岐)地点までは約13kmであった。

1.大鹿村大河原を出ると1車線の平坦

  な区間がしばらく続く。

2.

大鹿村内のR152は大雨の後土砂崩れ

がよく起きる。大鹿村桃の平地区の土砂崩れの現場。(土砂は撤去済み)

3.地蔵峠に到着。R152はこの地点ま

  でだとか。ここから先は林道になる。

4.

林道を下って再びR152と合流する。こ

の先は4kmほど1車線道が延びている

というが走っていない。

5.

『この先4km通行不能×』と示されている。4km先はダートとなって道が消えて

いるらしい。

6.

最近立てられた標識にも『152号通行不能』と標されている。大鹿村へ行くために

はこの先で林道に入らねばならならない。

 ☆★☆ 地蔵峠 ☆★☆ 

 当初の予定では飯田から矢筈TN経由でR152に出て地蔵峠を越えて北上する予定だったが、矢筈TNを越えると豪雨だったので引き返し、この日の地蔵峠越えを中止した。翌日大鹿村側(北側)から地蔵峠を越そうとR152を南下した。通行止めにはなっていなかったので走ったのだが、途中で土砂崩れの撤去作業現場に出くわしてしまった。通行止めかと思い、作業員の人に話を聞くと大雨が降った次の日は数カ所で土砂崩れが起きて道をふさぐという。

 『この先の土砂は撤去したか撤去中だし、車が下りてくるのでバイクでも大丈夫だ』と言われ先を進む。この日は峠までの間に4カ所の土砂崩れ現場を通過した。全ての現場が道路を完全に覆っていたようで、跡から察するにR152は川と化していたようだ。最後の土砂崩れ現場は土砂撤去中だったが、15cm大の石がゴロゴロと転がっており、石と土砂を小型のブルドーザーで撤去していた。ZRXで通過するときかなり慎重になったのは言うまでもない。

 聞くところでは、地蔵峠は峠を境にして山土の性状が違うとか。大鹿村内(峠北側)の山斜面は非常にもろく、上村内(峠南側)の山斜面は結構固くて安定している。そのために大鹿村内のR152では大雨が降ると至る所で土砂崩れが起きて通行止めになることが多いとか。大雨が降った後、上村内の林道が大丈夫でも大鹿村内のR152では土砂崩れが起きているのはよくあることらしいので、大雨が降った後は必ず道路状況を確認してから走ることを勧める。また大雨が降っている時は走らない方が良い。土砂崩れに巻き込まれる危険が高い。

 土砂崩れ現場に出くわして立ち往生したらどうしようもないので、この峠も出来るなら2人以上で走った方がよいだろう。見通しの悪いブラインドカーブが連続するので、バイク・車では対向車に注意が必要。

 場所が場所だけに冬期は通行止めになるのかも知れないが、晩秋や早春には路面凍結・積雪があるので通行には注意が必要。

(2000年7月走行) 

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峠を越えて