尾道渡船に乗ろう!

 

 

 尾道を舞台としたドラマや映画には必ず登場するのが尾道渡船。尾道市街と尾道水道を挟んだ向島を結ぶ連絡船です。乗船料は大人100円(自転車・原付バイク10円)という値段ですが、尾道大橋を渡るために市街から離れて急勾配の坂道を走ることを考えれば、尾道渡船に乗って直接尾道市街に入ることが出来るメリットは大きく、地元の人達の大切な交通手段として2000年5月時点では6系統存在していました。(99年5月までは7航路でした。) 2001年5月をもって玉里渡船が廃航となったので、現在は5系統となっています。

 1系統を除いた残り4系統の尾道市街側乗り場は、尾道駅前と尾道市役所付近に集まっていますが、向島の乗り場はそれぞれの地区にばらけてあります。向島のそれぞれの乗り場は下町の街中にあり、乗り場周辺には多数の通学・通勤客の自転車と原チャリが停められています。乗り場周辺の雰囲気は、路面電車や私鉄の下町の駅前という感じで、買い物に行くので路面電車に乗るように地元の人達は渡船に乗船していました。駅→乗船所、電車→船と置き変わっているのです。

☆★☆ 尾道渡船 ☆★☆

 尾道と向島を分ける尾道水道の幅は約200mで、大きな河の様に見えますがれっきとした海です。海を渡るので、尾道渡船は立派なフェリーとなります。もしかしたら日本最短のフェリーかも知れません。

 尾道渡船は6系統ありますが、市営ではなく5つのフェリー会社によって運航されています。

 

尾道(山波)〜向島(肥浜):桑田渡船

尾道(久保)〜向島(彦ノ上):岸元ライン

尾道(士堂)〜向島(兼吉):尾道渡船

尾道(JR尾道駅前)〜向島(富島):向島運航

尾道(士堂)〜向島(小歌島):福本渡船

尾道(新浜)〜向島(有井):玉里渡船<<2001年5月で廃航>>

・乗船日:すべて2000年5月27日

・乗船方向は各レポート内に記述しています。

・記載順に乗船しています。

・2004.02.24記事修正。

(注 意)

DATAは2000年5月現在。

運賃改定やダイヤ改定などが行われている場合もあります。

乗船される際は予め調べてから乗船して下さい。

 

尾道(山波)〜向島(肥浜):桑田渡船

【尾道→向島の便に乗船】

 6航路ある尾道渡船の中で一番東にあり、尾道大橋よりも東側(福山側)にある唯一の航路が桑田渡船の山波・肥島航路。

 尾道側の乗り場は、R2の尾道大橋入口交差点から東(福山方面)へ約1km走った海側にある。乗り場入口には『桑田フェリー乗り場』という看板があり、押しボタン式信号があるのですぐに分かる。乗り場は店の駐車場という感じで、車を5台ほど置ける広さがある。海側に桟橋があるので渡船乗り場であることは確かだ。

 船はおらず5分ほど待つと、対岸の向島より一隻の小さな船が近づいて来た。『渡し船』と言った方が正確に表現されるようなフェリーが桟橋に接岸する。下りた乗客は一人だけ。乗船したのはKSRに乗った私と買い物帰りのおばさん一人だけ。

 桟橋に人が居ないことを確認すると、船は桟橋を離れて向島に向かった。甲板員に110円支払う。乗客と船員は顔なじみのようであれこれ世間話していた。毎日乗っていると顔見知りになるのだろう。5分ほどで対岸の向島肥島に到着する。入れ替わりに乗客が一人だけ乗船すると、すぐに船は出航して行った。

 向島側の乗り場は尾道側よりも広くて渡船乗り場という雰囲気がする。周囲は工場が建ち並んでいた。朝夕の通勤時間帯はその工場に通勤する人達と尾道に渡る通学・通勤の人達で混雑するのだろう。昼間は閑散としていた。

1.尾道側の山波桟橋。向島からの船が到

  着したところ。

2.桑田渡船の船上。車2台をほど積むこと

  が出来る。

3.向島の肥島桟橋。工場の近くにある。

 ◇◆◇ 尾道(山波)〜向島(肥浜):桑田渡船 ◇◆◇

 尾道側の乗り場はR2沿いにあるのでよく分かる。一方、向島側の乗り場は分かりづらい。尾道大橋に向かう連絡道の分岐交差点(向東出入口交差点)を直進し、西瀬戸自動車道を越えて街中を1.5kmほど進んで向東農協交差点で川を挟んだ向かい側の道に入り、そのまま川沿いに進むと肥島桟橋に到着する。

 桑田渡船の船にはバイク・車共乗船可能。ただし車では普通乗用車2台程度しか積むことが出来ない。船が揺れることもあるので、バイクではスタンドを立ててしっかりと固定しておく必要がある。

【運航時間/6:30〜20:00 5〜10分間隔】

尾道(久保)〜向島(彦ノ上):岸元ライン

【向島→尾道の便に乗船】

 尾道市久保地区と向島の尾道市内である彦ノ上地区を結ぶ渡船が岸元ライン。向島の彦ノ上桟橋は街中を過ぎた工場の近くにある。

 桟橋入り口付近に係員がおり、係員に110円を支払って乗船する。私の他に乗客は2人ほどで、しばらく待って乗客が来ないのを確認するとゆっくりと離岸した。船は車が4台ほど搭載できるぐらいのスペースがある。

 穏やかな海面の尾道水道を北に向かう。向かいには尾道市街が広がる。正面には尾道市役所があり、船は真っ直ぐ市役所に向かう。4分ほどで尾道市役所西側にある久保桟橋に到着した。

1.向島の彦ノ上桟橋。昼間なので乗客

  は少ない。原チャリに乗ったおばちゃ

  んが下りてくる。

2.結構広い車両甲板。旅客のための客

  室もある。

3.尾道側の久保桟橋。市役所の西側に

  あり、尾道市街の繁華街近くにある。

◇◆◇ 尾道(久保)〜向島(彦ノ上):岸元ライン ◇◆◇

 尾道側の久保桟橋は尾道市役所西側にある。市役所を目指せば乗り場に到着する。向島の彦ノ上桟橋は向島の尾道市向東町彦ノ上地区にある。R317からだと、街中の東西橋交差点で北へ向かう道に入り、尾道市と向島町の境となっている川沿いに北上する。途中にある日立造船グランドを越えた付近の橋を東に向かい、街中の道を北に向かうと岸元ラインの彦ノ上桟橋に到着する。

 久保桟橋は市役所と繁華街の近くにあり、彦ノ上桟橋は工場の近くにあるので、朝晩は通学・通勤客が多いと思われる。

【運航時間/7:00〜21:00 5〜10分間隔】

尾道(士堂)〜向島(兼吉):尾道渡船

【尾道→向島の便に乗船】

 岸元ラインの乗り場から西へ約400mほど尾道市街を西へ向かう。中央桟橋を過ぎると尾道渡船の乗り場に到着する。『尾道渡船フェリー乗り場』という看板があるだけで、繁華街にあるにしてはかなり地味な乗り場である。

 向島からのフェリーが到着したところだったので早速乗り込む。船は幅が少し狭く、車両甲板は普通乗用車2台分くらいの広さである。船の両橋に旅客用の狭い客室があり旅客はここに座る。数人の旅客と原付に乗った買い物帰りのおばちゃんが乗り込み船は出航した。日常生活の足として使われているのがよく分かる渡船で、のんびりとした時間が流れていた。

 約4分で対岸の向島兼吉桟橋に到着。桟橋出口に係員がおり、料金の110円を支払った。尾道側の乗り場付近とは違い、兼吉桟橋付近には商店やバス停があり下町の駅前という雰囲気が漂う。桟橋乗り場正面には、大林宣彦監督作品の『あした』(95年9月公開)の中で船の待合室として使用されたセットが残されており、バス停待合所として使用されている。

1.尾道渡船の尾道側の乗り場である士

  堂桟橋。繁華街にしては地味な乗り

  場だった。

2.尾道渡船のフェリー。両側に狭いなが

  ら客室がある。

3.尾道渡船の向島側乗り場である兼吉

  桟橋。雰囲気は下町の路面電車駅前

  という感じ。

◇◆◇ 尾道(士堂)〜向島(兼吉):尾道渡船 ◇◆◇

 尾道側の士堂桟橋は、R2からだと尾道郵便局のある交差点を曲がり少し行った所にある。向島側の兼吉桟橋は、R317東西橋交差点を曲がり北へ向かう川沿いの道を進む。岸元ラインの乗り場に向かう時に渡った橋は渡らずに、そのまま川沿いに進み突き当たりを左に曲がれば乗り場に到着する。岸元ラインの乗り場はすぐ近くにあるが、尾道渡船の乗り場は向島町にあるのだ。渡船乗り場前にはバスが乗り入れてくるようなので、付近を走る時は注意がいる。

【運航時間/6:00〜22:30 5〜10分間隔】

尾道(JR尾道駅前)〜向島(富島):向島運航

【向島→尾道の便に乗船】

 向島運航の向島側の乗り場は日立造船所横にある。乗り場前までは車で来ることが出来るのだが、乗り場入口付近は自転車置き場と化していてバイクと車での乗り入れは不可能である。ほぼ旅客専用船となっているようだ。

 KSRUのエンジンを切って押して桟橋に向かう。係員にバイクごと乗船すると告げて船に乗り込む。船は車の積み込みは不可能な構造となっている。すぐ隣に福本渡船乗り場があるので、バイクと車はそちらに任せてあるようだ。船には自転車と原付バイクまでしか乗ることは出来ない。小さいながらも客室もあり、旅客はそちらに入る。船上で係員に110円を支払う。

 ある程度乗客が乗ると船は出航する。向島運航は、川を少し遡った所に乗り場があるために出航後しばらくは川中を走る。尾道水道に出るとすぐ左側に福本渡船の桟橋がある。福本渡船の航路と交差して船は尾道方面に進んで行く。日立造船の巨大なクレーンなどがよく見える。距離が長く、JR尾道駅前に発着するために利用客が多いためか、船は2隻体制で途中で向島に向かう船とすれ違った。

 約5分ほどで尾道側の乗り場に到着。乗り場はJR尾道駅前。エンジンを切ったKSRUを押して下船した。

1.向島の乗り場。ご覧の通り入口は自

  転車・単車置き場と化している。下町

  の駅前という印象が一番強かった。

2.向島運航の船。車の搭載は出来ない

  造りになっている。両側に客室がある。

3.尾道側の乗り場。船の操舵室のデザ

  インが面白い。対岸に日立造船所の

  クレーンが見える。

◇◆◇ 尾道(JR尾道駅前)〜向島(富島):向島運航 ◇◆◇

 尾道側の乗り場は、JR尾道駅前でR2を挟んで向かい側にある。乗り場付近は公園となっている。渡船乗り場入口にはポールが立てられバイク・車での進入は出来ない。一方、向島側の乗り場は日立造船の工場真横にある。R317からだと尾道工業高校角の交差点を曲がって川沿いの道を日立造船の工場を目指して進み、途中の橋を渡って川の東岸を走れば到着する。向島側の乗り場付近は工場近くにあり結構賑やかに思えた。乗り場付近は、下町の路面電車駅前という雰囲気が一番強かった。

 この航路には車と126cc以上のバイクは乗船出来ない。旅客と自転車に乗った人専用で、原付バイクまでなら乗船出来る。尾道側と向島側の両乗り場入口が車とバイクが乗り入れ出来るような造りになっていないのだ。乗り場すぐ近くに福本渡船の乗り場があるので、車・バイクはそちらに回るしかない。どうしてもと言う場合は、車とバイクを停めて旅客として乗るしかない。

 JR尾道駅前と日立造船の工場真横に発着するので、平日の朝夕の通勤・通学時間帯は混雑するものと思われる。その時間帯の船に乗れば、生活の足として使用される渡船を体験出来るのだろう。

【運航時間/6:00〜22:05 7〜15分間隔】

尾道(士堂)〜向島(小歌島):福本渡船

【尾道→向島の便に乗船】

 尾道の向島運航の乗り場から少し東側(福山側)から発着するのが福本渡船。尾道市街中心部とJR尾道駅前近くに車で乗り入れることが出来るために車の利用が多いようだ。そのため乗り場は他の乗り場と比べると賑やかに見える。

 到着したフェリーに乗り込む。船自体は結構大きく、甲板は車が10台ほど積めるぐらいの広さがある。車既に車が3台乗船していた。後でもう1台乗船してきたので計4台の車が乗り込んだことになる。他にも旅客が数人とカブに乗ったおっちゃんが1人。今まで乗ってきた航路の中では一番乗客が多い航路であった。福本渡船は車の乗船が多いためか旅客運賃は安く、原付バイクの料金含めて80円であった。

 出航すると向島の造船所を見ながら進む。ほぼ同時刻に正面の向島乗り場から尾道行きのフェリーが出航しており途中ですれ違う。利用が多いためか福本渡船は2隻体制で運航されているので、乗り損ねても少し待てば次の便が来るというわけだ。途中で向島運航と航路が交差する上に、尾道水道を通過する離島への航路や貨物船などの動きを考えて運航しなければならないので、結構気を使う航路かも知れない。

 約3分で向島小歌島桟橋に到着。乗り場付近は入り組んだ町の中にあり、道幅は1車線しかない。そのため付近の道は右回りの一方通行となっていて、自動的に乗船する車と下船する車が分けれられるようになっている。

 ちなみに福本渡船の尾道士堂桟橋は、映画『さみしんぼう』(85年4月公開)で主人公の百合子(富田靖子)が通学に利用していた渡船乗り場である。

1.福本渡船の尾道側乗り場。尾道側の乗り場の中では一番

  賑やかに思えた。

2.車の利用が多い。10台ほど載せる事ができそうだ。

3.客と船員は顔なじみが多いようで、世間話をしていた。完全

  に日常生活の一部になっている。

4.福本渡船の向島側乗り場。付近は入り組んでおり、道幅は

  狭い。

◇◆◇ 尾道(士堂)〜向島(小歌島):福本渡船 ◇◆◇

 福本渡船の尾道士堂桟橋はJR尾道駅前から東(福山方面)に少し行った所にある。向島側の小歌島桟橋は向島造船所の近くにあり、向島運航の乗り場と川を挟んだ向かい側にある。ひたすら川の西岸を進めば乗り場に着く。ただし乗り場付近は道幅が狭いために右回りの一方通行になっている。

 福本渡船も近くに造船所があるために朝夕は通勤・通学客の利用が多く、結構混雑するものと思われる。

【運航時間/5:00〜22:00 5〜10分間隔】

尾道(新浜)〜向島(有井):玉里渡船

【向島→尾道の便に乗船】

 尾道渡船の中で一番西側(広島より)にあるのが玉里渡船。尾道の新浜地区と向島の有井地区を結んでいる。向島の乗り場は桟橋があるだけで、乗り場周辺に漁船などが係留されていなければ気づかずに通り過ぎてしまう。乗り場正面に待合所らしきものはあるが、要らなくなったソファーが置いてあるだけ。入口付近に『玉里渡船』と書かれた看板がある。

 距離が長いのだが1隻体制で運航しているため、6航路ある中では運転間隔が一番長く、おおよそ20分おきに運航している。しばらく待つと対岸から漁船の様な船がやって来て桟橋に接岸する。乗っていた自転車に乗った子供と車が下船するのを待って、KSRで乗船する。船は船首のみに乗船口があるタイプで、車の場合はバックで乗船しなくてはならない。桟橋をバックで進むのは結構怖いかも知れない。船は6航路中では一番小さく、車は1台ぐらいしか載せることが出来ない。甲板は何故かコンクリートで覆われており、所々剥がれていてバイクの場合スタンドを立てる位置を考えなければならない。

 乗客は私一人。船員に110円を支払う。船は方向転換して船首を尾道に向けて尾道水道を進む。漁船に乗っているような気になる。西側を見ると、造船所のクレーンの向こうに尾道大橋と新尾道大橋、それに忙しく往復する渡船の姿を見ることが出来る。東側を見ると、これから乗る尾道・因島間のフェリーが乗り場に接岸するのが見える。

 この航路も結構長く、約5分で対岸の尾道新浜桟橋に到着した。新浜桟橋にはコンクリートの桟橋があるだけで待合所などはなく単なる空き地であった。看板などもなく寂しい乗り場であった。

<<注意>>玉里渡船は2001年(平13年)5月1日をもって廃航となりました。

1.向島の有井桟橋。周囲には民家があるだけで自販機なども

  なかった。船から軽自が下りてきた。

2.甲板は車1台ほどのスペースしかない。奥には客室があっ

  たが、薄暗くエンジンの排気の臭いがしていた。

3.甲板は何故かコンクリート舗装されていた。船首側にしか乗

  降口がない、典型的な漁船フェリーである。

4.尾道側の新浜桟橋。コンクリートの桟橋があるだけで他には

  何もない。建物もなく周囲は空き地であった。

◇◆◇ 尾道(新浜)〜向島(有井):玉里渡船 ◇◆◇

 玉里渡船の尾道側の乗り場は、訪問した時は単なる空き地だったので見逃しやすい。尾道駅前から西へ進み新浜橋を渡った新浜橋西詰めすぐの海側にある空き地が乗り場。コンクリートの桟橋があるのだが、一目見ると漁船の発着場に見える。しばらくすると対岸から漁船のような船がやって来る。

 向島側の有井桟橋は、R317から県道に入り西へ向かい、有井交差点を北に向かう道に入る。道幅は途中で1車線となるが、ひたすら道沿いに進むと左側に桟橋がいきなり現れる。案内看板などないので、うかっりしていると行き過ぎてしまう。周辺の道は地元の小中学校生が自転車で勢いよく走っているので、休日や夕方に走る時は注意が居る。近くに土建屋の駐車場があるようで、付近を大型ダンプが走ることもあるようだ。

【運航時間/7:00〜18:30 だいたい20分間隔】

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