●彷徨猫的 渡船の基礎知識 〜あめふらし@管理人による個人的な渡船の解説です。〜

 大阪渡船の数は、建設局管理の渡船7系統で計13隻で港湾局管理の1系統で1隻の計14隻

でした。(取材日に確認した船だけを数えていますので、まだあるかと思います。)

 各渡船場の利用客数や運航数などによって配置されている(運航している)船の数は違います。1渡船場で1〜3隻体制となっています。

 各航路で運航に就く船は決まっているようですが、定期的に配置換えが行われるようです。また予備船もあり、予備船はいくつかの航路と共通となっているようです。予備船や休んでいる渡船は

事務所のある起点側の別桟橋か近くの岸壁に係留されています。

利用客の多い甚兵衛渡船は予備船も含めて3隻配置されいます。真ん中は80人乗り渡船。他の航路もこういう感じで係留されています。↑

◆渡船の種類

 大阪渡船には定員だけで分けると3種類の船が活躍しています。定員50人弱の小型船と定員80人の中型船で、80人乗りは2種類存在しています。(製造年月や細部まで見れば細かく分けられるようですが、詳しい資料などがないので単に見た目だけで分けています。)

 渡船の型式名、機関の種類とか大きさ、トン数などは不明です。m(_ _)m資料がないもので・・・

>>50人乗りタイプ

 オレンジ色の渡船です。(説明上、”オレンジ船”と書きます。) 正確には定員は46〜48名。

 信貴製作所という造船会社で建造されています。大阪渡船では一番配置数が多い渡船で、木津川・天保山などの河口近くの渡船以外、波のない内港や河口より離れた所にある渡船場では主力船として活躍しています。朝夕ラッシュ時はもちろんのこと、昼間時間も運航されています。

 屋根は取り外し可能な簡易型の屋根となっており、パイプで支持されています。当然のことながら雨などは簡単に入ってきます。扉は一カ所のみで乗降口の扉は手動で係員が開閉。いたって単純な構造となっています。

↑よく見るタイプ。定員46〜48人の渡船で、大阪渡船の主力となっています。写真は船町渡船の『八坂丸』。

>>80人乗りタイプ(信貴製作所製)

 水色の渡船です。(説明上、”水色船”と書きます。)定員は80名です。

 こちらも信貴造船所という造船会社で建造されています。オレンジ船と比べるとかなりしっかりした構造となっています。屋根はしっかりとした支柱で船体と一体型となっています。船の大きさも

オレンジ船と比べると少し大きく、安定感がありました。客室の窓ガラスはありません。天保山渡船場のような河口近くや船の往来が激しく、波がある場所の渡船向けです。

 煙突が操舵室前にある船が2隻(千歳丸ともう1隻)とない船の2種類あるようですが、前者の煙突のある船2隻は予備船となっているようです。(甚兵衛渡船場と落合下渡船場で係留されています。)

↑こちらは80人乗り渡船。利用客の多い渡船、波が高くなることがある渡船で使用されるようです。写真は天保山渡船の『海桜』。 

>>80人乗りタイプ(堺造船所製)

 木津川渡船のみで見かけた渡船です。オレンジ色をしていますが、80人乗りの渡船です。この渡船は堺造船所という造船会社で建造されています。

 水色船と比べると操舵室の窓の位置が低く幅が広いので”どっしり”とした安定感があります。船の通行も多くて波が立つことが多い河口付近なので安定性を重視したようです。

 この渡船も屋根と船体が一体型となっています。客室の窓ガラスはありません。扉は2カ所にあって自動扉でした。 

 単に造船会社が別の会社なのでこうなったのでしょうか。

↑唯一の大阪港湾局管理の渡船である木津川渡船で活躍する『第二松丸』。こちらも定員80人の渡船です。これは自動扉でした。

◆運航方法

  大阪の渡船の船は操舵室は一つだけです。艦首・艦尾方向の両方(双方向)に向かって設けられていません。大阪渡船場の乗り場(桟橋)は川の流れに平行になるように岸壁に設けられています。渡船はどちらかの方向から桟橋に進入し、進入方向の反対側から出て行きます。当たり前ですね。

 渡船は急に回ったりするので、強い横Gがかかります。うっかりしていると転けたりするので注意して下さい。

 大阪渡船の場合、運航方法は2種類に分けられます。

@S字型>>甚兵衛渡船、落合上渡船、落合下渡船、千本松渡船、天保山渡船

 桟橋を出発して急なカーブを描いて直線もしくは斜めに進み、対岸の桟橋手前で急カーブして接岸。この場合、出発桟橋と到着桟橋とで、接岸する船の舷側が逆になります。上から見ると『8の字』を描くことになります。

 見ていると渡船は下流→上流方向に向かって桟橋に進入します。接岸した時、艦首は絶えず上流方向に向かっています。

例1>>落合下渡船

 

1.対岸(大正区側)乗り場を出発。上流方向に

  向かい面舵を取ります。

2.下流に向かい、乗り場を過ぎたところで取舵

  を取ります。横Gがかかります。

3.ぐぐっと上流方向に向かって艦首を移動して

  ゆきます。

 

4.あとは乗り場に向かって進んで行きます。

  写真右が上流方向です。

5.エンジンを止めて惰性で接近。乗務員が降り

  て係留ロープで固定します。

 

例2>>天保山渡船

 

1.天保山(港区側)乗り場を出発し取舵を取り

  下流に向かう渡船。

2.少し斜めに進んで桜島(此花区側)乗り場に

  近づきます。

3.乗り場を過ぎ、下流寄りの地点で面舵を取りま

  す。ぐぐっと横Gがかかる瞬間です。

 

4.艦首を上流方向に向けて乗り場に接近してき

  ます。

5.エンジンを止めて乗り場にピタリと接岸。

  お見事。ヽ(゚∀゚)ノ

 

 

A円型>>船町渡船、木津川渡船(*)、千歳渡船(*)

 どちらか一方向でグルグルと回ります。接岸する舷側は絶えず同じです。円もしくは細長い楕円を描きます。見ていると、これら3渡船は絶えず右回り(面舵)で動いていました。

 船町渡船は木津川運河の川幅が75mと狭いために円型を描いて運航されています。

(*):木津川と千歳渡船はS字型なのか円型なのかは不明です。取材時に乗船したときは円型(細長い楕円型)を描い

    ていましたので、こちらに分類しています。状況により運航方法を変更していたのかも知れません。

例1>>船町渡船

 

1.鶴町側乗り場で出発を待つ渡船。左舷側を

  接岸しています。

2.出発。すぐに面舵を取ってぐぐっと向きを変え

  ます。

3.艦尾を横滑りさせるように進んできます。艦首

  は下流方向に向きつつあります。

4.艦首を下流に向けて乗り場(浮き桟橋)に到

  着。左舷側で接岸しました。

5.オレンジ船の内部はこんか感じ。係員が乗船

  人数を報告書に記入していました。

6.オレンジ船の天井には握り棒があります。

  急な横Gがかかったら掴みましょう。

注意>>この動きはあくまでも基本的な動きです。波があったり、他の船舶が通行する場合などは大きく変わることがあります。

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