安治川隧道

●安治川隧道(あじがわずいどう)

北側:此花区西九条1丁目〜南側:西区九条3丁目/管理・運営:大阪市建設局

◆概要

  安治川隧道は安治川の下を通る全長約81mのトンネルです。『海底』ならぬ『川底トンネル』なのです。安治川を渡る人・自転車などの交通量が増加したため計画され、1935年(昭10年)11月に工事着工。1944年(昭19年)9月15日に開通しました。

 安治川隧道の開通により安治川にあった4つの渡船が廃止されています。現在の安治川隧道の場所にあった『源兵衛渡船』も隧道の開通により廃止され、西区側の交差点にその名を残すのみとなっています。

 安治川隧道は、幅2.4mの歩行者・自転車用通路と幅4.5mの自動車用通路(2車

線道)の2種類の通路が設けられました。地上から地下への移動はエレベータによって行われるという珍しい方法が取られました。しかし、1963年(昭38年)に安治川大橋(現R43)が開通したことにより自動車の通行量は減少。自動車用通路は、スロープ を設けて川底トンネルとする計画が持ち上がり、その工事開始を前提として1977年(昭52年)2月に閉鎖されます。しかしその後、地元住民の反対などにより計画は頓挫してしまい、以来自動車専用通路は閉鎖されたままとなっています。

 2005年4月現在、安治川隧道は歩行者・自転車通路のみが通行可能となっています。地下通路には階段もしくはエレベータにより移動することになっており、24時間通行可能な隧道として地域の重要な移動手段となっています。(エレベータは真夜中は停止します。)

◆安治川隧道利用DATA

・自動車用通路:1977年(昭52年)以来閉鎖されいます。バイク・自動車での通行は不可能。

・歩行者・自転車用通路:24時間利用可能。原付1種以上のバイクは通行できません。

・エレベータ運転時間(エレベータは係員常駐)

  5月1日〜10月31日:午前6時〜23時

  11月1日〜4月30日:午前6時〜22時

・階段は24時間利用可能です。安治川隧道の通行は無料です。

◆通行レポート【西区→此花区方向(南→北方向)で通行】

●安治川隧道南側(西区側)入口

 道幅の広い4車線道同士の交差点である源兵衛渡交差点を左折すると、南北方向に進む4車線道は安治川にぶつかって突然終わります。そのどん突きにある4階建ての建物が安治川隧道南側(西区側)入口です。本来ならトンネルの抗口があるはずなのですが、そんなものはありません。

 建物で目立つのは1階にあるエレベータ入口です。右端にガレージのような入口が2つ。中央にステンレス扉のエレベータが1つ。左端に階段入口という配置。

 右端の大きな入口が自動車用エレベータですが、すでに30年近く使用されていません。完全に閉鎖されています。巨大な『△▼』の表示灯(?)が目を引きます。その上には表面が剥がれて黒くなって判読困難となった利用注意事項の看板が残されています。さらに入口上部には『道隧川治安』と右→左方向に書かれた銘板が残っています。昭和19年9月15日完成記されています。今年(2005年)で65年目となる隧道なのです。

 中央のエレベータは歩行者・自転車用エレベータ。ここは現役です。運転は頻繁でさかんに上下しています。見ていると一往復するのに3〜5分ぐらいかかっているようです。エレベータは両側に出入り口があるタイプ。あとで分かりますが、地上と地下とでは出入り口が反対となるためです。

 左端の階段室入口は幅約1.5mぐらいで、少し薄暗い中を階段が下りて行きます。エレベータが運転しているときはほとんど利用する人はいないようですが、真夜中は階段しか利用できません。かなり薄暗いため、防犯対策を施しています。

 安治川隧道により廃止された「源兵衛渡船」の

 名は最寄りの交差点名で残っています。

 交差点を曲がるとT字路正面に建物が。これが

 安治川隧道入口です。

 階段室入口。夜間は大変危ないとのことで、防

 犯対策が施されています。24時間開放。

 歩行者・自転車用エレベータ入口です。このよう

 な止め方は邪魔なのでやめましょう。m(_ _)m

 1977年まで使用さていた自動車用エレベータ

 入口。完全に閉じられています。

 巨大な表示灯が目立ちます。その上の看板も

 表面が剥がれ黒くなり判読困難です。

●安治川隧道地下通路

 歩行者や自転車が集まってきます。エレベータが上がってきて扉が開くと下りる人と入れ替わりで乗り込みます。満杯になるか利用客が途切れるかすると係員が扉を閉め地下に下りて行きます。エレベータのシャフトのコンクリート壁が見えますが、かなり年季が入っており補修の跡があちこちに見られます。

 1分もしないうちに地下に到着。地上とは反対側の扉が開きます。係員に礼を言って下りるとそこは地下通路。タイル張りの明るい通路で、地下鉄の連絡通路という感じがします。ただ通路の幅は1.5mぐらいで人がすれ違いできるぐらいの幅しかありません。自転車は当然のことながら下りて押して行かねばなりません。

 休日に夕方近くということもあり通行する人は結構多く、子供の姿も目立ちます。元気に走り回っている子供もおり、生活感一杯の地下隧道です。3分ほどで北側(此花区側)のエレベータホールに到着します。エレベータ入口横に階段室入口がありますが、階段を下りてくる人とは出会いませんでした。

 地上からのエレベータに乗り込みます。満杯になったので出発。1分ちょいぐらいで地上に出ました。地下とは反対側の扉から出ると、そこは4車線道と2車線道のT字交差点でした。

 南側のエレベータ地上入口。注意書きをよく読

 んでから利用しましょう。

 地上と地下では扉は逆になります。こんな感じ

 で乗り込みます。係員のおっちゃんがいます。

 地下通路。幅の狭い地下鉄連絡通路という感じ

 の通路です。

 真ん中ぐらいでストロボ使用で撮影。自動車用

 通路がどんなものか見てみたいです。

 こちらが北側エレベータホール。この左側に階

 段室入口があります。

 北側エレベータの地上入口です。前の歩道の幅

 は狭いので早々に移動しましょう。

●安治川隧道北側(此花区側)入口

 北側(此花区側)も南側(西区側)と同じく、南北方向に進む4車線道が安治川にぶつかった所にあります。南側と同じ4階建ての建物があります。これが安治川隧道北側(此花区側)入口です。当然のことながら、こちらにもトンネルの抗口はありません。1階にあるエレベータ入口の配置も全く同じです。違いは自動車用注意事項の書かれた看板がないぐらいです。

 しばらく見ていると地元住民の方々が頻繁に出入りしているのが分かります。完全に日常の主な移動経路として利用されているのです。

 2005年4月現在、安治川隧道東側では阪神西大阪線の延長工事が行われています。延長工事が終了して高架が出来上がれば、付近の風景は一変するでしょう。静かな間に是非訪れて見てはいかがでしょう?

 安治川隧道北側(此花区側)入口の建物。

 南側と同じ造りです。

 自動車用エレベータ入口。前にガードレールが

 設置されており、もう使うことはないようです。

 しばらく撮影していると、結構多くの人が出入り

 していました。

 自動車用エレベータ入口上部にあった銘板。

 歴史を感じさせます。

 北側から対岸の南側建物の裏を撮影。裏はこ

 んな造りになっています。 

 遠くから南北の建物を撮影。将来、この後ろに

 は阪神電車の高架橋が通ります。

◆安治川隧道行き方

>>南側(西区側)

 地下鉄中央線九条駅下車。北西に向かって徒歩約10分。

>>北側(此花区側)

 JR西九条駅から南東に向かって徒歩約5分。

乗船日:2005年4月17日

自転車(MTB)にて通行。

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