関門海峡を渡ろう!

 関門海峡は本州と九州を分け隔てる海峡。山口県六連島〜福岡県北九州市部崎までの約15M(1M=1.852km)が関門海峡とされています。海峡は一番狭い所で約650m、一番深い所で水深47mというもの。狭い海峡ながら1日約650隻もの船が行き来している、海上交通の要所というわけです。

 こんな狭い関門海峡ですが、海峡を渡る手段は、鉄道(海底トンネル)、車・バイク(海底トンネルと橋)・原チャリ・自転車・徒歩(海底トンネル)、船(フェリーと連絡船)とこれだけあります。自力で泳ぐとか船を漕ぐという手段を除いて、海峡を渡る手段が7つもあるというのも珍しいのですが、歩いて海峡を渡れるのには驚きです。

関門海峡と関門橋(門司側から)

◇◆◇ 掲載リスト ◇◆◇

関門鉄道トンネル(在来線・新幹線)

関門国道トンネル

関門人道トンネル

関門橋

関門海峡連絡航路(関門海峡フェリー・関門海峡連絡船)

 

関門鉄道トンネル

 その名の通り、関門海峡を越える鉄道トンネル。全長約3.6kmの世界初の海峡トンネルで、1935年(昭10)に着工し太平洋戦争の最中の1942年(昭17年)に単線TNとして開通。その後、1944年(昭19年)にもう片方が開通して複線TNとなった。建設計画の段階で連絡橋と海底TNのどちらにするか議論となったそうだが、橋だと建設費が莫大になることと橋にすると戦略上重要拠点となり攻撃目標となることを嫌った軍の意向から海底TNとなったとか。

 1970年(昭45年)に着工された新幹線用の新関門TNは、1975年(昭50年)3月に山陽新幹線博多開業に合わせても開通(営業開始)している。こちらは全長18.7km。

 現在は、JR在来線と新幹線の2本の鉄道TNで関門海峡を渡ることが出来る。JR在来線だと下関から彦島に渡ってから海峡TNに入り、対岸の門司駅の門司港寄りに出てくる。乗った時は門司→下関に向かったのだが、列車に乗ってTN入口に向かうときは妙にワクワクするが、TN内に入ってしばらくすると単なる長いTNだと感じるようになる。それでも下関側に出ると海峡を渡ったという気持ちになり、下関駅のホームに立つと『本州に来た』と実感できる。ちなみに門司〜下関間は約8分であった。

 新幹線だと海峡を渡るかなり手前から地下に潜るので、どこら辺で海底下を走っているか全く分からない。気が付いた時にはすでに本州もしくは九州に渡っている。鉄道で渡るなら在来線で渡ることを勧める。

 JR在来線・新幹線で関門海峡を渡ったのは、渡るついでに大学受験で九州に行った時なので10年以上前のこと。写真はありません。

関門国道トンネル

 関門海峡を渡る3つ目の手段として建設されたのが、この関門国道TN。計画は昭和の初め頃からあり、1937年(昭12年)から試掘立抗工事に着工。鉄道TN建設開始から遅れること4年後の1939年(昭14年)に本格工事に着工したが、太平洋戦争の激化による資材不足と軍事上重要な鉄道TN建設が優先されて工事中断。戦後1952年(昭27年)に工事が再開されて1958年(昭33年)3月に自動車専用TNとしてようやく完成した。全長約3461mで国道2号線として管理されている。

 九州側の料金所で100円(バイクの料金)支払ってフグの口からトンネルに入る。トンネル内は片側1車線の2車線道路。もちろん追い越し禁止区間。ゆるやかな下り坂を下り、平坦区間に入ると最深地点で山口・福岡両県境。ここからゆるやかな上りとなり下関側の出口に出た。大都市近郊のちょっと長いトンネルといった感じ。交通量が非常に多いTNで、TN内は排気ガスの臭いが充満していた。バイクだとちと息苦しくなる・・・

 1999年に全面通行止めの上改修工事が行われている。なお、関門国道トンネルは125cc以下のバイクは通行禁止となっている。

(1999年5月走行)

門司側にある料金所。料金所は門司側に

のみある。入ってすぐ左にJ−SaPaがあ

る。

関門国道TN門司側入口。『ふく』(山口県

ではフグのことをこう発音するらしい)の口

から入って行く。

こちらは関門国道TN下関側入口。海中に

入って行くというイメージ。

関門人道トンネル

 関門国道TNの調査用パイロットトンネルをそのまま利用したトンネル。自動車専用トンネルの真下を通っている。おそらく歩いて海峡(海底)の下を渡れる日本で唯一の場所であろう。

 下関側の入口はR9沿いのJ−SaPa下関にあり、バイクや車を停めて歩くなら駐車場のあるこちらに停めた方が良い。トンネルまでは地上から直通エレベーターで下るのだが、約70mもの深さを30秒ほどで下りてしまう。原付を載せるためかEVは大きい。地下に着くと乗り場付近は広い。ここから対岸の門司まで約780mを13分かけて歩くのだ。すぐ真上を関門国道TNが走ってういるので、トラックが走ると振動が伝わってくる。国道TN同様、最深部まで緩やかな坂道となっている。最深部に県境。海底のさらに底に県境があるといのもなんだかおかしい。

 県境を越えて緩やかな上り坂を進むと門司側に着く。先ほどと同じEVに載って地上に向かうと、和布利公園前の関門人道TN門司側入口に着く。海峡を挟んで下関側のJ−SaPaが見える。門司側入口の近くに駐車場はない。

 関門人道TNは125cc以下の原付バイクなら通行可。ただし歩行者やジョギングしている人がいるので、原付バイクはエンジンを停めて押して歩かねばならない。通行料は50円(自転車20円)だったと思う。なお、通行出来るのは6:00〜22:00なのでツーリングで渡る時はそれを考慮して計画を立てなくてはならない。

 人道TNの壁には木の絵が描かれていたのだが、自動車トンネル同様、1999年に全面通行止めの上改修工事が行われているので絵が変わっているかも知れない。

(1999年5月TNを1往復歩く。)

1.関門人道TN下関側入口。エレベータで

  一気に地下に下る。

2.エレベータで地下に下りると、長い緩や

  かな下り坂が続く。

3.中央部にある山口県と福岡県の県境。

  海底のさらに底に県境があるのは意

  外。

4.門司側のエレベータホールから下関

  方向を見る。壁と天井には木の絵が

  描かれている。

5.エレベータホールにあったTN案内板。

6.こちらが関門人道TN門司側入口。

関門橋

 関門海峡を渡る4つ目の手段として建設されたのが関門橋。中国自動車道と九州自動車道を結ぶ片側3車線の大橋で1973年(昭48年)に開通している。

 関門橋自体はわずか2分ほどで走破することができるので、『あっ』という間に関門海峡を渡り本州なり九州に渡ることが出来る。横風の強い日は、バイクだと流されるので注意がいる。

 下関側の下り車線側(本州→九州)には壇ノ浦PA、門司側の上り車線側(九州→本州)にはめかりPAがあり、ともに関門大橋を一望出来る。

(1999年5月走行)

めかりPAから見た関門橋。

関門海峡連絡航路

 現在の関門間の連絡船は、関門海峡を渡る最初の手段として明治中頃に登場した関門連絡船の末裔ともいえる。関門連絡の国鉄連絡船としては、下関〜小森江間(関森航路)に存在していたが、関門鉄道TNと関門国道TNの開通により1964年(昭39年)に廃止となった。現在は、下関市唐戸〜北九州市門司港を結ぶ関門海峡連絡船(旅客のみ)と下関市彦島〜北九州市小倉北区日明を結ぶ関門海峡フェリーがある。

 ☆★☆関門海峡フェリー☆★☆

 本州〜九州間のフェリーと言えば、東京や大阪発着の長距離フェリーを思い浮かべるかもしれないが、実は関門間にもフェリーは就航している。このフェリーは最短の本州・九州間航路である。

 関門海峡フェリーの本州側乗り場は、下関市彦島の福浦港の北側にある荒田港。ここからフェリーに乗り込む。乗用車だと約20台ほど積むことが出来るフェリーに乗り込む。近距離フェリーらしく船首と船尾の両方に出入り口が付いているタイプだ。車両甲板にバイクを固定することなく、スタンドを立ててそのまま停めておく。旅客用の客室もあるがデッキにも椅子があるので、晴れた日ならデッキでいるのがよい。潮風を受けながら『ぼ〜』と出来る。やがて対岸の九州の街並み(といっても工場地帯)が近づいてくる。九州にやって来た感じがますます強まる。約13分ほどで九州側乗り場である北九州市小倉北区日明港に到着する。本州・九州ともども『島』ということだ。

 関門海峡フェリーを利用すると、下関〜小倉間を北九州市街地の渋滞をパスして短時間で移動出来る。またフェリーで移動すると、トンネルや橋で渡るよりも『旅』をしていることを感じさせてくれるので、ツーリングで関門海峡を渡ることがあればフェリーで渡ることを勧める。

(1999年5月乗船)

 ◇◆◇運行DATA◇◆◇

 平日32便で1時間あたり2〜3本、土曜は17便で40分おき、日曜祝日は15便で40分おきの運行。運行時間は、月〜土は7時台、日曜祝日は8時台からで、18時台には運行は終わる。船のドック入りなどで変更になることがある。12月31日〜1月4日と8月14日〜8月16日は運休となる。(99年現在)

1.本州側の関門海峡フェリー乗り場。す

  でに九州の島影が見えている。

2.フェリーに乗って約13分で九州に着く。

  徐々に九州に近づいてくる。

3.九州側の関門海峡フェリー乗り場。向

  こうに見えるのは本州側の彦島の島影。

☆★☆関門海峡連絡船☆★☆

 もう一つの関門海峡連絡船は旅客のみの連絡船。5分ほどで本州・九州間を結んでいる。99年5月のツーリングの時、乗り場目の前まで行っておきながら時間の都合で乗っていない。残念・・・

 

 ◇◆◇運行DATA◇◆◇

 月〜土は6時から、日曜は7時からの運行で、21時までの運行となっている。1時間あたり2〜3本の運行。(99年現在)

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