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平成20年度海上自衛隊呉地方隊展示訓練(その2)

◆観覧部隊

 F4EJファントムが飛び去り、航空機展示がほぼ終わった1225頃(PC3がまだ飛来していなかった)、『しもきた』の左舷前方から別の護衛艦数隻がやってきました。呉地方総監乗艦の護衛艦『ひえい』を含む観覧 部隊3隻です。

 

 

 変な体勢で撮影したので、写真が傾いています。m(_ _)m 右の3隻が観覧艦隊で、先頭から護衛艦『せとゆき』、護衛艦『ひえい』、訓練支援艦『くろべ』となります。『せとゆき』の後方に見える護衛艦は、『しもきた』よりも先に回頭して観覧 部隊に合流しようとしている先行していた護衛艦3隻です。『しもきた』よりも先に観覧を受けたようです。

 

 ← 『せとゆき』 『ひえい』 『くろべ』 『いなづま』 『あけぼの』 『やまゆき』

『くろしお』 『まきしま』 『げんかい』 『ちはや』 『しもきた』 →

注)→:進行方向

 

・・・という順序ですね。

 

 以下、すれ違う艦艇を順に掲載。

●護衛艦『せとゆき』(DD131)

 

 

 1986年(昭61年)12月に就役した『はつゆき』型護衛艦の11番艦。『はつゆき』型は、”八艦八機体制用汎用護衛艦”として建造された護衛艦です。いわゆる”八八艦隊”の中核を担う護衛艦でした。 かつての花形護衛艦も地方隊転出となりましたが、海自の再編に伴い再び護衛艦隊に復活しています。

 去年の大阪湾での展示訓練にも『せとゆき』は参加していました。2年連続の展示訓練参加ということになります。今回は呉からの出港です。

●護衛艦『ひえい』(DDH142)

 

 

 ヘリコプター護衛艦『はるな』型の2番艦。後部をすべてヘリコプター発着の飛行甲板にしており、127ミリ単装砲やアスロックSUM発射機などを艦の前部に配置しています。単装砲ながら2基が背負い式に配置おり、”軍艦”らしく見える護衛艦です。

 就役が1974年(昭49年)11月ということで、艦齢34年という大ベテラン。そろそろ退役が近づいており、代替艦として『ひゅうが』型DDH2 番艦が建造中です。

 昨年同様、今年の展示訓練でも呉地方総監が座乗しており、『しもきた』とすれ違うときは乗組員同士が敬礼をしていました。

しかしすごい人ですね。

●訓練支援艦『くろべ』(ATS4202)

 

 

 『ひえい』に続いて航行していたのが訓練支援艦『くろべ』。艦隊の対空射撃訓練支援を主な任務としています。後部は標的機の発射甲板となっており、そこに展示されているオレンジ色の飛行機みたいなのが無線操縦による無人高速標的機”ファイアー・ビー”(BMQ34AJ改)です。他にミサイルタイプの”チャカV”(BMQ74E)も搭載しており、各々4機づつ搭載可能となっています。なお標的機発射甲板にはヘリコプターの発着が可能となっています。

 艦橋の上に塔型マストが設けられており、そこに”フェーズド・アレイ・アンテナ”が取り付けられています。塔型マスト基部付近に標的機の管制室があるそうです。『くろべ』は訓練支援艦ながら76mm単装砲が搭載されています。

 観覧艦隊とのすれ違いはここまで。ここからは他艦とのすれ違いです。

●護衛艦『いなづま』(DD105)

 

 

 護衛艦『むらさめ』型の5番艦として2001年(平13年)3月に就役した汎用護衛艦。『あさぎり』型護衛艦に続いて建造された護衛艦ということになるが、『あさぎり』型に比べると艦上の構造物が直線的な形となり小さくなっており、ステルス化が図られていることが分かります。

 前部甲板に76mm単装砲1基を搭載。艦橋前とヘリ格納庫上にCIWSが各1基づつ配置されています。短SAM発射機やアスロックSUM発射機がなくなったので兵装が貧弱に見えますが、それらは垂直発射装置(Mk41VLS,Mk48VLS)化されているだけで、シー・スパロー(発展型シー・スパロー)とアスロックSUMは搭載されています。これもステルス化の一環だそうで。

●護衛艦『あけぼの』(DD108)

 

 

 護衛艦『むらさめ』型の8番艦。2002年(平14年)3月に就役しています。頑丈そうにみえるラティス・マスト甲板がなだらかに傾斜する”ミニ・オランダ坂”が『むらさめ』型の特徴です。

 ヘリコプター発着甲板にはSH60Jが搭載されているのが見えます。『むらさめ』型護衛艦はSH60Jを1機搭載しています。ヘリ格納庫には最大2機までのSH60J/Kを収納できるようになっています。

●護衛艦『やまゆき』(DD129)

 

 

 『はつゆき』型護衛艦の9番艦。1985年(昭60年)12月に就役した、艦齢28年のベテラン護衛艦です。76mm単装砲やSAM発射機やアスロックSUM発射機が見えます。ヘリコプター発着艦が高く設けられており、後部のSUM発射機の発射を妨げないような工夫がなされています。

◆P3C飛来

 

 

 『やまゆき』とすれ違うと、『しもきた』は左に回頭を始めて『やまゆき』の後ろにつきます。『せとゆき』を先頭にして進む艦隊の最後尾につくために回頭中に撮影。左に見えるのは『ちはや』。『しもきた』に続いて左に回頭を始めつつあります。艦隊らしい光景です。(・∀・)イイ!!

 

 

 1244、艦隊の上空を1機のP3Cが通過してゆきます。鹿屋基地から飛来したそうです。遠いためにさきほどの航空機展示に間に合わなかったのか、この時間に到着するように飛来したのかは分かりません。回頭中の『ちはや』の上空をフライパスして初めて気がついた次第で、こんな写真しか撮れていません。

 P3Cは海上自衛隊の主力対潜哨戒機。現在、合計80機が配属されています。対潜魚雷4本、ハープーンASM4発を搭載可能です。次期哨戒機としてXP1の開発が進んでいますが、まだ当分は第一線で姿を見ることができます。

 P3Cが飛び去ったあと、『げんかい』・『まきしお』・『くろしお』の3隻は艦隊から離れて行きます。

 

 

 

離れて行く多用途支援艦『げんかい』。左舷側を撮影しています。

 

 

 

 同じく離れて行く潜水艦『くろしお』。潜舵(セイルプレーン)の上に3名の自衛官、艦橋(セイル)上に艦長らしき自衛官他数名が立っています。

 伸びている2本のマストは、左側の柱みたいなのが赤外線映像装置付きの補助潜望鏡、右側のT字型のがZPS6水上レーダーです。船首に突き出ているのは逆探ソナー。

 右奥に見える掃海艇は『くめじま』(MSC676)で警戒船として海域の警戒に当たっていました。このあと、掃海艇『まきしま』(MSC677)も離れて行きました。

◆SH60Jフレア発射

  潜水艦『くろしお』が離れて行った直後の1249頃、SH60JによるIRフレア発射が実施されます。

 

 

 IRフレアを発射しながら飛行するSH60J。2発発射した後があり煙が残っています。3発目(?)を発射した直後。フレアが落ちて行きます。去年は遠すぎて全く見えなかったフレア発射ですが、今回は遠いながらも見ることができました。

 

 

 

フライパスしてゆくSH60J。航空機展示で飛んできた同じSH60Jです。

 

 

 

 SH60Jが去った後の1250頃、『しもきた』搭載のLCAC2艇がやってきました。『しもきた』の左舷側を通り過ぎる2艇のLCAC。右側が3号艇で左側が4号艇。『しもきた』を追い抜いて先頭に向かって航行して行きます。

◆2回目の回頭

 1300頃、しばらく縦列で行動をしていた各艦艇が再び回頭を始めました。

 

 

 

護衛艦『ひえい』(左)と訓練支援艦『くろべ』(右)。

 

 

 

 

護衛艦『いなづま』。

 

 

 

 

潜水艦救難艦『ちはや』。

先ほどの回頭から『しもきた』の前に入っています。

 

 

 

 

回頭を終え、北(?)に向かう艦隊。

 

この時点での順序。

 

← 『せとゆき』 『ひえい』 『くろべ』 『いなづま』 『あけぼの』 『やまゆき』  『ちはや』 『しもきた』

注)←:進行方向

 

 

 

 

回頭を終えた直後、US1Aによる着離水が行われました。

 

写真は離水するUS1A。着水する瞬間は遠すぎて見えませんでした・・・(´・ω・`)

 

US1Aは翼を振りながら訓練海域を去って行きました。

 

◆艦隊行動展示

 ・・・で、いいのかな?

 1315、それまで単縦列で一直線で並んでいた各艦艇のうち、偶数番目に位置する艦艇が一斉に右方向に移動。二列となります。

 

 

 

写真では分かりずらいのですが、ほぼ同時に4隻の艦艇が右に移動を始めました。

 

そりゃ、見事な繰艦ですわ。

 

 

 

 

『ちはや』の前が『やまゆき』、1隻挟んで右に移動するのが『いなづま』。

 

@管理人が乗っている『しもきた』も右に移動しています。

 

 

 

 

左列の先頭はヘリ格納庫入口の形態から『せとゆき』でしょう。

 

『いなづま』に隠れていますが、その前に『ひえい』がいます。

マストだけ見えていますね。

 

この後、右列に移動した各艦艇がほぼ同時に直線に並びました。

 

4隻が同時に同じ行動ができるとは。

海自の操艦技術はレベル高いようです。

(他国海軍は見たことないから分かりませんけど・・・)

 

◆ヘリコプター低空飛行とLCAC高速航行展示

 1320、艦隊の間をSH60Jが低空飛行して通過して行きます。

 

 

 

SH60Jが海面近くを低空飛行してきます。

かなりの経験とスキルが必要だそうです。

後ろに続いているのはLCAC。

 

 

 

 

低空飛行するSH60J。航空機展示から同じ機体です。

海面近くまですれすれで飛んでゆきました。

 

 

 

 

高速航行するLCAC3号艇。後ろは護衛艦『あけぼの』。

 

高速航行展示ではレインダンスは披露していないので、

『しもきた』に乗艦した人だけが見ることができたことになります。

 

◆海上保安庁航空機高速機動展示

 最後にやってきたのが海上保安庁。広島の第六管区海上保安本部からの参加です。

 

 

 

巡視艇『あきかぜ』(CL24)とヘリ『せとづる』。

 

高速航行する『あきかぜ』を『せとづる』が追いかけるという設定のようです。

 

 

 

 

巡視船『あきかぜ』にぴったりと引っ付いて”追いかける”『せとづる』。

 

これもかなりの腕前が必要なんでしょうね。

 

不審船相手だと撃たれる危険性もあるわけで、かなり危険かと・・・

 

 

 

 

『しもきた』の真横を通り過ぎる『あきかぜ』と『せとづる』。

違反車を追いかけるPCという感じですか。(;´∀`)

 

海保ヘリの『せとづる』は1号機か2号機かは不明。

機体番号は”595”でした。

機体はベル212。陸自でよく見かけるUH1の民間機型。

海上保安庁では38機を採用しています。

 

巡視艇『あきかぜ』は、海保でよく見かける巡視艇。

巡視艇『ひめぎく』(旧『すずかぜ』)型巡視艇の1艇。

このタイプは現在も建造が続く巡視艇で、130隻以上も建造されているそうです。

 

◆展示終了

 1330。海上保安庁の高速機動展示をもって、平成20年度呉地方隊展示訓練はすべて終了。各艦艇は出発港に向かうべく艦隊から離れてバラバラになります。『しもきた』も他の艦艇と離れて松山目指して移動して行きます。あっという間の展示訓練でした。

 

 

 1350。独立して航行していたLCAC2艇の収容作業が行われます。興味のある人たちがどやどやと上甲板から車両甲板に降りてきました。後部の”ウェル・ドック”前に陣取ります。大音響がしてから扉が開くと、すでに1艇が収納されています。3号艇なのか4号艇なのかは不明です。

 

 

 海上には次のLCACが待機しています。この後、『しもきた』に収納されました。輸送艦に乗った人達だけが、LCACの発進・収納シーンを見ることができたのでした。(゚д゚)ウマー

◆松山へ

 展示訓練が終わると甲板上にいた多くの人達が艦内に移動します。甲板上に残る人達は艦橋横付近の陰となる部分に陣取っていました。

 松山に着くまでまだまだ時間があり、車両甲板などではロープの結び方教室というのが開催されていたようですが、@管理人と翔鶴は上甲板と艦内をウロウロしていました。

 1400、ラッパと手旗信号の実演が行われます。ラッパによる『君が代』はいつ聞いても良いですね。ちなみにラッパには赤紐が付いていますが、上達した人でないと紐はつけることができないそうです。紐のないラッパを吹いている人はまだ修行中の身だとか。

 

 

 手旗信号の実演風景。実演中、風が強くて帽子が飛びそうになるため集中できない海士さんを見かねて、隣の海曹さんが帽子を預かっているという図。

 この海士さんは、いわゆる”いじられキャラ”。手旗信号の実演では、観客に言われた言葉を信号にして送る際に、2・3度失敗したりする愛嬌のある海士さんでした。観客の爆笑を誘っておりました。(・∀・) ほのぼのとした雰囲気で実演終了。あとは松山港入港まで艦内をウロウロします。

 ウロウロすると言っても行くところは限られます。食堂に行き冷たい飲み物とアイスを購入して一息つきます。その後は艦橋に上がり入港までの様子を見学。

 

 

 松山港に近づくにつれ、漁船や遊覧船、貨物船にフェリーなどなど、いろんな船が増えてくるので、その確認や航路決定に大忙し。ブリッジ内は緊張に包まれていました。

 その様子をしばらく見学している最中にある物に気がつきました。

 

CCDカメラ

 

 

 

ブリッジ全体をとらえることができる位置にCCDカメラが設置してあります。

 

なんで?CCDカメラが? (゚Д゚)ハァ?

 

写真ではわかりずらいのですが、某大手警備保障会社のマークが入っています。

 

 「あれは監視カメラ?。防衛省のお偉いさん達は現場を信用していないということかな?」と尋ねてみると、その自衛官は苦笑いしながらも、「万が一、事故が起こった場合、こちらがどういう行動をとったか記録して、その後の審査に提出するんですよ。」

 このカメラ、2008年(平20年)2月におきたあの事故の後に設置されたそうです。つまりは万が一あのような事故が起こった場合に、どういう対応をしたか、事故が起こる直前にどういう行動をしていたかを記録するために設置したそうです。

 軍艦に監視カメラというのものなぁ・・・。なんか違和感というかおかしくね? 憲法や法律で縛られるだけでもおかしいと思っているのに、さらにカメラで監視とはねぇ。軍事音痴の弊害が現場にまで来たかと思うと、なんともいえませんね。┐(´ー`)┌

 ほんとに大丈夫ですかね?日本国を守る自衛隊は?

◆松山入港

 閑話休題。

 1530、『しもきた』は松山港に入港。岸壁に接岸して接岸作業に入ります。接岸作業は人力です。接岸終了後、下船が始まります。早く降りたい人達は車両甲板に降りていたようです。

 

 

 階段で車両甲板まで下りても良かったのですが、最後ぐらいはエレベータに乗って降りることにしました。安全確認のための昇降のあと、10分ほど待ってエレベータに乗り、上甲板から車両甲板に降りました。これも輸送艦でないと体験できないことです。

 

 

 

サイドランプから降りてから『しもきた』を撮影。

 

お世話になりました。m(_ _)m

 

一晩停泊した後、明日、呉に帰るそうです。

 

◆帰阪

 バスで臨時駐車場に移動。車に戻った@管理人と翔鶴の2人は、そのまま松山市街にある道後温泉に直行します。朝早くから起きていたのと、ウロウロしていたこともあって疲れていたのです。3連休の中日と言うことで道後温泉は大混雑。20分近く待ってやっと入場できました。

 1時間近く滞在。温泉に浸かり疲れをとってから、近くの食堂で夕食。そして、道後温泉の近くに秋山好古のお墓があるというのでお参りに向かいます。が、どこに墓地があるのか分からず、ウロウロしている間に日が暮れてしまいました。やっとこさ墓地を見つけてお参り。手をあわせます。

 給油の後、松山を出発したのは2000頃。フェリーには乗らずに高速で一気に大阪まで移動としました。わたしゃ、高松まで爆睡。運転は翔鶴に任せっきりでした。m(_ _)m 大阪に到着したのは日付が変わった21日0100頃。途中で大休憩していたのと速度を抑えていたこともあるとはいえ、松山から約5時間弱で到着しました。翔鶴瑞鶴、車提供&運転、ありがとさん。(^人^)

 展示訓練で松山から乗り込むとすれば、往復自走も可能と言えば可能でしょうけど、かなり疲れるので往路か復路のどちらかはフェリーで休んで行かれることをおすすめします。

 翌21日は祝日で休み。@管理人は運転もしなかったのに、昼過ぎまで爆睡していたのは言うまでもありません。さて、来年は大阪湾で開催されるという噂。3年連続を狙うか、別の場所を狙うか・・・。それよりも展示訓練を見にいけるだろうか・・・。(;´∀`)

【写真】艦橋にあった防弾メット(?) 上から位の高い人順に置かれています。いざ装着時は位の高い人優先ということですね。

【終わり】

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